動物福祉

動物福祉の向上には

昨年末には、繁殖業者やペットショップの飼育・管理方法に関する数値規制(環境省令)の完全施行が3年先送りされたり、元農林水産相に対して国際基準となる鶏の飼養指針に反対するよう賄賂を贈ったとされる汚職事件が明るみになるなど、動物福祉の観点から、とても残念な出来事がありました。どれも、今の日本で実際に起きていることです。一方で、イギリスでは昨年4月にペットショップなどブリーダー以外のものが子犬や子猫を販売することを禁止するルーシー法が施行となり、米国でもニューヨーク州議会の上院でペットショップが犬、猫、ウサギなどのペットを販売することを禁止する法案(New York Puppy Mill Pipeline Bill)が可決されています。日本は、動物福祉の先進国と言われている西欧諸国とくらべて、どこが違うのだろうと考えてしまいます。

法律や行政の取組みなどに、確かに違いがあるのかもしれませんが、このような違いの本質は、国民の意識のような、もっと根本的な部分なのではないでしょうか。犬や猫などの保護施設であれば、日本は地方自治体が愛護センターを運営していますが、西欧諸国の施設は民間の手により運営され、非常に多額の寄付や多くのボランティアによって充実した活動を行うことが出来ています。それだけ国民の関心が高いと言えるのかもしれません。

もちろん、動物福祉先進国と言われる国でも、劣悪な繁殖業者の深刻な問題はありますし、当然のことながら動物が嫌いな人もいます。ですが、ペットを飼っている世帯の割合が高かったりすることから*、身近な問題として関心を持っている人は多いのかもしれません。

動物の福祉に関心を持つということは、弱い立場にある動物たちを思いやる気持ちを持つということだと思います。そしてそのことを自分とは離れた遠い世界の出来事ではなく、自分の身の回りで起きていることとして考えることが必要です。他人事ではなく自分のこととして、弱い立場のものに対する想像力を持つことは、動物福祉の問題だけでなく、多くの社会問題に取り組むうえでとても大事なことです。

こういった社会問題に関心を持つ人が増えていくためには、子供の時から学んでいくことが、欠かせないことなのではないかと思います。動物福祉であれば、命の大切さ、そして、どのような動物にも、恐怖、不安、怒り、喜び、愛情などの感情があるということに意識を向けることが大切です。

時間がかかることではありますが、子供の時から、このようなことを考える機会を持つことで、日本の動物福祉は必ず向上していくはずだと思います。

*犬・猫の世帯飼養率
ヨーロッパ: 犬 24% 猫 25%
日本: 犬 11.85% 猫 9.60%
出典)
欧州ペットフード工業連合会(FEDIAF)the FEDIAF Facts & Figures 2019
ペットフード協会 令和2年 全国犬猫飼育実態調査

お正月は寝正月でした
早くも梅が咲き始めました
今年もどうぞよろしくお願いします!

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