犬の起源
私たち人間にとって最初のパートナーであり、最も身近な存在といえる犬は、今からおよそ1万5千年から4万年前までの間のどこかで、祖先であるオオカミから分かれて誕生したと言われています。1万5千年~4万年前と言われてもあまりピンときませんが、その頃の地球は氷河期にあり、人類は狩猟生活を営んでいる時代でした。誕生した場所には、東南アジア説、中近東説、中央アジア説、ヨーロッパ説、ヨーロッパと東アジアの二重起源説などの諸説があるあるそうです。
オオカミ(イヌ科イヌ属に属するハイイロオオカミ)は、北アメリカに起源を持ち、欧州や中東から東アジアに生息域を広げていったと考えられています。いくつかの亜種が存在しますが、犬の祖先となった亜種は、既に絶滅してしまっているのだそうです。
犬の起源については、まだまだわからないことは多く、世界各地で研究が続いていますが、そのような中で昨年10月に発表された総合研究大学院大学の寺井洋平助教授を中心とするチームの研究結果は、犬の起源の解明に大きく寄与するものとなりそうです。
この研究によると、オオカミの中で最も犬に近い遺伝情報を持つのは、日本の東北から九州まで広く生息していたニホンオオカミであることがわかったそうです。東アジアに移動したオオカミのグループの中から犬とニホンオオカミの祖先が誕生し、その後、犬は世界各地に広がった可能性が高いということです。
また、ニホンオオカミと犬の祖先の間では、分岐した後に交雑していた可能性があるらしく、柴犬、秋田犬、紀州犬などの日本犬は、日本列島に渡った古代犬とニホンオオカミが交配することによって生まれたと考えられるようです。
ニホンオオカミと東アジアの古代犬の遺伝情報を更に分析することによって、犬と人間の関係の始まりが明らかになっていくであろうとのことでした。
犬が人間と関わることによって誕生したことは間違ない訳ですが、獲物を追う上ではライバル同士であったオオカミと人間が、どのようにしてその距離を縮めていったのか、、、興味は尽きません。