動物福祉,  犬について

8週齢について

犬との暮らしを楽しいものにするためには、迎い入れられた犬が、その家族と、そして周囲の人達やほかの犬たちと良い関係いられることが、とっても大事なことだと思います。近所の人や家を訪れる人、あるいは散歩で会うほかのワンちゃんに対して怯えたり、攻撃的にならずに、仲良くできるのは、飼い主だけでなく、犬にとっても良いことです。なんと言っても、近所の人に可愛がってもらったり、仲良しの犬仲間でじゃれ合って遊ぶことは、犬にとって、とても嬉しいことですから。

そのためには、迎え入れてからの躾も大事ですが、子犬にとって、生まれてから一定の期間を母親犬や兄弟犬と一緒に過ごすことがとても大事なことなのです。

朝日新聞の記事

3月26日の朝日新聞に、ペット販売大手のコジマが、子犬・子猫の販売時期について自主規制に踏み切ったという記事が出ていました。コジマは、「生後8週(57日)以降の引き渡しを推奨します」という見解を同社のホームページや店頭で公表したと記事は伝えています。現在、犬・猫の繁殖業者は法律で認められている生後49日(7週齢)を超えれば販売できることになっています。多くの繁殖業者が生後50日で子犬・子猫を出荷しているなかで、コジマは、8週齢になるまでは、専属の獣医師や販売スタッフの手元において、その後に販売することにしたそうです。

コジマ以外の販売大手も同様の姿勢を示し始めているとのことで、取引がある繁殖業者に対し、8週齢以降での出荷を促す交渉を始めているところもあるそうです。また、販売業者の集まりである全国ペット協会も、8週齢規制に賛成の立場をとるようになり、販売業以外の業界関係者にも、変化が起きているということでした。

犬の成長段階における社会化

生まれてから一定の期間、母親犬や兄弟犬と一緒に過ごすことで、子犬は、体だけでなく、精神面でも成長していきます。他の犬と関わるときのマナーやルールを学ぶことで、社会性を身につけていくのです。

あまり早い時期に母親犬から引き離されてしまうと、十分な社会性を身につける機会を失い、他の犬や人間と良好な関係を築くことが難しくなってしまうことが、様々な実験などから、明らかになっています。また、早くから母親犬と引き離され、不安定な状態に置かれることによって、ストレスから、食欲不振や体重の減少など健康にも影響を及ぼすこともあるそうです。

海外での規制

このようなことから、動物保護先進国といわれているドイツをはじめとする諸外国では、生後8週間に達しない犬を母犬から引き離したり、販売することについて、法律で何らかの規制をしています。

日本の現状

2012年に改正された「動物愛護管理法」は、犬や猫の販売や販売のための繁殖を行う者は、生後56日を過ぎていない犬や猫を販売してはならないと定めていますが、同法の付則によって、今の時点では、生後56日を生後49日と読み替えることになっています。つまり、日本では、犬・猫の繁殖業者は生後49日(7週齢)を過ぎれば販売できるのです。

今、ペットショップで販売されているのは、ほとんどが子犬です。でも、子犬はすぐに大きくなってしまいます。ですから、ペットショップとしては、早いうちに仕入れたいわけです。これに対して、動物愛護団体は、8週齢規制を行うべきと言っています。

変わりつつある風向き

朝日新聞の記事を見ると、今、ペットビジネスに関わる業界団体側からも、8週齢を過ぎてからの販売を促す動きが出始めるなど、風向きが変わりつつあることがわかります。これは、私たち、消費者が8週齢以降の販売のほうがいいと考えるようになったことに理由があるようです。

動物愛護管理法の改正に向けた取り組みが行われている中で、私たち、一人ひとりが、このような問題に関心をもつことが、必ず、犬猫の環境を改善していくことに繋がるのだと思いました。
今年の法改正に期待したいと思います。

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