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これからの犬猫保護に必要なこと

全国の自治体に引き取られた犬・猫のうち、2017年に、飼い主に返還さたのは12,602頭、譲渡されたのは44,320頭です。(環境庁 統計資料 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

引き取られた犬・猫のうち、譲渡されたり、飼い主へ返還されたものの割合は増え、殺処分の数は年々、減っていますが、それでも43,216頭が殺処分となっており、受け皿の拡大が必要です。

そのためには、犬や猫と飼う時に、ペットショップから仔犬、仔猫を買うのではなく、保護犬、保護猫を迎い入れる人が増えれば良いと思います。

でも、出生率の低下が続いている日本では、この先、人口はどんどん減少していくことになります。その一方で、人生100年時代と言われているように平均寿命は伸びています。つまり、人口が減る中で、シニアの割合は高くなっていくのです。

このような日本の状況を考えると、この先、ペットを飼いたいと考えているシニアの人たちの中から、保護犬・保護猫の引き取り手を増やすことが必要となってくるのではないでしょうか。

ペットを飼っていた経験のある人など、シニアでも犬や猫を飼いたいと思っている人はいますし、ペットと暮らすことのメリットは、そういったシニアにとって、とても大きいと思います。

しかし、シニアの人たちが保護犬を引き取るには、ハードルが高いのが現実です。保護犬、保護猫の譲渡にあたっては、通常、年齢制限があります。引き取った犬・猫は最期まで世話をしなければなりませんが、シニアの場合、病気になったり、年齢からくる体力の衰えなどによって、世話ができなくなるリスクが高いことが理由として挙げられます。実際、高齢者がペットを飼い続けることが出来なってしまったことで、自治体の動物愛護センターに持ち込まれるケースは増えているといいますし、つらい経験をしてきた保護犬、保護猫には、決して二度と同じ思いをさせるわけにはいきません。

それでも、シニアの人たちの中にも体力があって元気な人はたくさんいます。仕事を続けたいと考える人も増えており、企業でも定年を迎えるシニアを活用していく方向にあります。

実際、保護犬・保護猫には譲渡の年齢制限がある一方で、ペットショップはそのような制限をしていませんので、結局、ペットショップから買うケースもあるようです。

そのように考えていくと、単純に年齢だけで判断するのはどうかなという思いもあります。もちろん、生活環境や家族構成、その他、犬や猫を飼うのに適しているかどうかの見極めは大事ですし、適さない場合、譲渡はすべきではないと思います。でもそれは、シニア以外でも同じことでしょう。

シニアの人が犬や猫を飼うのであれば、その寿命を考えると仔犬や仔猫ではなく、成犬、成猫を選ぶのが良いと思います。これから成長していく仔犬や仔猫より、性格もはっきりしていますので、飼い主との相性も、ある程度わかります。迎い入れる犬や猫の年齢や相性をよく見極めたうえで、シニアの人たちに里親になってもらうということも、選択肢として考えていくべきなのではないでしょうか。

それでも終生飼養は大前提ですから、シニアの人が、保護犬・保護猫の譲渡を受けるためには、飼い主の家を定期的に訪問して様子を確認したり、何かのときには代行の手段を用意したりするなどのサポートのしくみや、万が一、飼えなくなったときに受け入れる先を確保するなどのセーフティーネットのしくみを今後、作っていくことが必要だと思います。

そのようなしくみが整えば、これまで年齢を理由に犬や猫を飼いたくても諦めていた人も、保護犬・保護猫を家族に迎い入れることができるようになり、動物と人が共生していける、より良い社会が実現できるのではないかと思うのです。

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