犬種による習性
犬には、国際畜犬連盟(Fédération Cynologique Internationale)が公認するもので353犬種(これを書いている時点の公表値)、非公認のものを含めると実に700以上の犬種があるそうです。これだけたくさんの犬種が存在するのは、人と犬の長い歴史の中、世界のいたるところで、人間の手により、狩猟犬、牧羊犬、使役犬、愛玩犬など、犬を飼う目的に応じて、品種改良が続けられてきた結果と言えます。ですから、犬は、犬種によってそれぞれ異なる習性を持っていますし、ペットとして家庭で飼われていても、ふとした時にその犬種固有の行動やクセが、顔を覗かせることがあります。
よく言われる例では、アナグマ猟をするテリアやダックスフントなどは、穴を掘る習性があるので、家の中でも絨毯やソファなどを掘ってしまうことがあるようですし、同じ猟犬でも鳥猟犬のラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーは、撃ち落された獲物をくわえて持ち帰ることから、靴やスリッパなどいろいろなものをくわえて持って来てしまうとか、牧羊犬のボーダーコリーやシェルティは、散歩の途中で、自動車を見ると、反応し身構えたり、追いかけようとしてしまうようなことがあります。
先代の柴犬とむは、興奮してくると、家の中をグルグルと走り回るクセがありました。一度、スイッチが入ってしまうと、走りながらソファからジャンプするなど、どんどんエスカレートしてしまうため、怪我しないか冷や冷やして、取り押さえたものです。これは、猟犬として獲物を追って山を走り回る習性の名残りでしょうか。
ゆうの場合はどうかというと、家の中で、とむのように走り回ることはありませんが(もっとも、ゆうのスピードでは全速力で走るには、家の中だとちょっと狭すぎるようですが)、散歩から帰った後など、興奮が続いていると、おもちゃのボールを相手に、うなりながら跳びかかり、前脚で抑えつけたり、咥えて激しく首を左右にふったり、ということを飽きずにしばらくの間、繰り返します。真剣になって一心不乱にボールに跳びかかる様子は、まるで猟で獲物を捕まえようとしているかのよう。そんな様子を見ていると、雑種であっても、猟犬の血を引いていることが良くわかります。