動物保護は進むのか ~各国の法改正の動き
新聞やネットニュースなどの報道を見た方もいると思いますが、11月18日にフランスで動物保護に関する法律の改正がありました。この改正によって、フランスでは2024年から、犬や猫をペットショップで販売することができなくなります。また、インターネットによる販売も原則として禁止されるようです。
報道によると、フランスでは毎年、10万頭の犬・猫が捨てられており、この法改正の目的の一つは、犬や猫の衝動買いを減らすことによって、捨てられる犬や猫を減らすことにあるのだそうです。改正により、初めて犬や猫を購入する際には、飼育に関する知識と継続的な飼育意思があることを示す同意書を規制当局に提出したうえで、7日間の「待期期間」を待たなければならず、その間に気が変わった場合には購入予定を撤回することができることになります。
フランス以外でも、ここ数年、動物保護を強化する傾向にあるようで、イギリスでは、生後6カ月未満の子犬・子猫の販売を禁止する所謂、ルーシー法が2020年よりイングランドで施行され、アメリカでもカルフォルニア州をはじめとして、ペットショップでの犬、猫、ウサギなどの販売を禁止する州が少しずつ増えてきています。これらの販売規制には、劣悪な環境で子犬や子猫を大量に繁殖、販売するパピーミルへの対策という側面が強いものの、ペットの衝動買い抑制にもつながると言えます。
また、ドイツでは、ペットショップで犬や猫を売ることは法律上、禁止されていませんが、店頭で展示販売するペットショップはほとんど存在しないため、犬や猫を飼うのであれば、ブリーダーから直接、購入するか、保護施設(ティアハイム)に保護されている犬・猫を引き取るのが一般的なのだそうです。犬の飼い主には、犬税が課せられていたり、「動物保護-犬に関する条例」(Tierschutz-Hundeverordnung)によって、犬の戸外での運動、繁殖、屋外飼育・屋内飼育の環境、犬舎(檻)の大きさ、給餌、などについて定められており、違反すると罰金が科されるなど、国としての動物保護の姿勢を強く感じます。この犬に関する条例はブリーダーなど繁殖や販売を行う業者にも適用されますが、犬舎の大きさなどの基準が厳しいこともペットショップがみられない背景にあるようです。なお、この条例は今年、改正され、ブリーダーは、飼育担当者一人あたりが世話できる犬の頭数が、これまで10頭までとされていたのが、3頭となり、また飼育者が一日最低4時間、子犬と接しなければならないという規定が加わったようです。
日本では、動物愛護管理法が2012年に引き続き、2019年にも改正され、生後56日を超えるまで販売を禁じる「8週齢規制」の導入や、ペットショップや繁殖業者の飼育環境について数値を盛り込んだ具体的な規制(数値規制)など、犬や猫の販売や販売目的の繁殖業者に対する規制が強化されつつありますが、飼い主による飼育放棄が依然として問題となっているところもありますので、今後は飼い主に対しても法規制が強まっていくのかもしれません。
今後、日本でも、動物保護が更に進む方向にあることは間違いないと思いますが、なによりも、動物を想う気持ちが大切なことには変わりありません。