犬の幸せ、飼い主の幸せ
散歩をしていて、他の犬と出会ったとき、相手に興味を示して、近づいて臭いをかいだり、時には遊びに誘ったりする犬っていますよね。そこまで相手に興味を示さなくても、他の犬が近づいて来ても平気な犬もいます。でも、その一方で、他の犬とすれ違ったりしたときに吠えてしまう犬も多いのではないかと思います。愛犬がいつも吠えてしまうと、飼い主としては、他の犬と出会わないように散歩コースを考えたり、向こうから犬を連れた人が来るのがわかると、道を曲がって会わないようにしたり、結構、気を使うことになりますし、公園などで犬連れの飼い主さんたちが集まっている輪に加わることも出来ません。
犬の立場からすると、近寄られるのが嫌で、ストレスを感じているのでしょうから、他の犬に出会わないようにしてもらえれば、問題は解決しますが、飼い主さんが、自分の犬に他の犬と仲良くできることを望んでいるのであれば、不満を感じることになります。でも、本来なら、犬との暮らしは、犬にとっても飼い主にとっても快適でストレスが無いのが理想のはずです。
毎年、発表される人気の犬種ランキングでは、このところずっと、トイ・プードルやチワワなどの小型犬が上位を占めています。小型犬のほとんどは、愛玩犬として作られた犬種です。頭が大きく、ずんぐりしている子犬のような容姿だったりして、とても可愛いですし、例外はあるものの、一般的には小さい犬のほうが、散歩の時間も短くて済みますので、マンションや住宅地などで生活する人にとって、飼いやすいと言えます。
また、柴犬も常に人気がある犬種です。子犬の時は、言うまでもなく、とっても可愛いですし、日本犬独特の個性が好きな人も多いと思います。柴犬は、日本犬の中では小型犬になりますが、他の日本犬(紀州犬、四国犬、北海道犬、甲斐犬、秋田犬など)と同様に猟犬として作り出された犬種です。ですが、今や愛玩犬として飼われることがほとんどで、豆柴などは、愛玩犬として、より小さい犬が好まれることから生まれた訳です。
外見がかわいいとか、個性的だということで飼い始めても、なき声がうるさいとか、人や犬に吠えるとなると(それだって犬にしてみれば、ちゃんとした理由があってのことのはずですが)、人の社会では、周囲の迷惑になるため、疎まれてしまいます。それぞれの犬の性格形成には、遺伝子の影響が無視できないのと同時に、幼少期の経験と学習が非常に大きな役割を果たしていると言われています。つまり、おおらかで穏やかな気質の母親と父親から生まれた子は、おおらかで穏やかな性質を受け継ぐ確率が高くなりますし、子供のころ(社会化の時期)から、他の犬と触れ合うようにして育てることによって、そのような「問題行動」を減らすこともできるはずなのです。
そうなると、犬とその飼い主が幸せに過ごせるかどうかのカギは、ブリーダーさんにあるとも言えそうです。外見が人気の犬種に拘ることよりも、人の社会でうまくやれるような性質の子犬を送り出すことができる方が、長い目で見ると良いように思えます。そのように考え、実践しているブリーダーさんのところで生まれ育った犬の方が、人の社会の中でうまくやっていけるのではないかと思いますし、結局のところ、そういったブリーダーさんが信頼されるのだろうと思います。
そしてこれから家庭に犬を迎え入れようと考えている人は、ペットとしての暮らしに最適な性質を備えるのに適した環境で生まれ育った犬かどうかに注目するのが良いと思います。