関心を持つこと、知ろうとすること
少し遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。2020年が始まりました。今年はどんな年になるでしょうか。動物福祉の点では、昨年は動物愛護管理法の改正があり、いわゆる8週齢規制(犬猫等販売業者は、生まれてから8週間以内の子犬や子猫を販売などのために引き渡すことが禁じられることになりました)や、愛護動物をみだりに殺したり傷つけたりしたものへの厳罰化など(ほかにも大事な改正がいくつかあります)、法律のうえでは、間違いなく良い方向に進んでいると思います。でもまだ法改正のなかでは、具体的な数値規制などの課題が残されています。これからどうなっていくのでしょうか。良い方向に向かうことを願いながら、注目していきたいです。
日本では、ペットブームが訪れて久しく、2003年に飼われている犬・猫の数が15歳未満の子供の数を超えて以来、ペット市場は拡大してきました。ここ数年、その伸びは落ち着いてきているものの、ショッピングモールに行くと、大手チェーンのペットショップには、いつも可愛い子犬や子猫が並んでいます。
でも、その子犬や子猫の親はどんなところで、暮らしているのでしょう。ブリーダーさんに大切にされて暮らしている犬、猫たちも多くいるのだと思います。それでも、ペットブームによって大量に子犬や子猫が販売されている現状では、中には動物福祉の観点から、とても適切とは言えないような環境で繁殖させている繁殖業者も多くいるとも言われています。
母親や兄弟から、あまりに早い時期に引き離されてしまうと、他の犬(猫)との関係がうまく築けず、特に犬の場合には、やたらと吠えてしまったり、噛み癖がついてしまうなどの問題を起こすことに繋がると言われています。法改正によって(天然記念物に指定されている日本犬6種を繁殖する業者が一般の飼い主に直接販売する場合を例外として)、動物福祉の先進国並みの8週齢規制が実施されることになりますが、そもそも繁殖業者における母親や生まれた子の飼養環境が適切なものでなければ、意味を持ちません。
目の前の子犬や子猫たちが、どんな環境で生まれ育ってきたか、それがその子の性質や健康に大きな影響を与えているのであれば、これから子犬、子猫を飼う人にとって、とても知りたい情報であり、必要な情報なのではないかと思います。
ペットショップで気になった子犬、子猫の生まれ育った環境について尋ねる人が増えていけば、育った環境や親犬、親猫などの情報を積極的に公開したり、ペットを大切に育てるブリーダーを選んで仕入れるようなペットショップが増えていくことに繋がるかもしれません。
犬、猫を飼っている人やこれから飼おうと考えている人など、私たち皆が関心を持ち、知ろうとすること、知ったうえで、間違ったことにはっきりNOという意思を示すことによって、着実にペットの置かれている状況は変わるのではないかと思います。